、荒蕪に歸る。わたしたちと自然との微妙な關係は常にかうしたものかと思ふ。
多くの場合に、わたしたちは自然から與へらるゝことばかりを知つて、自然に與へることを知らない。母なる大きな自然を養はうとすることが、やがてわたしたちの生活をまことに豐富にする所以ではあるまいか。
人工の翼
けふも町の空に發動機の爆音を聽いた。
二三の航空機が乾いた寒空を衝いて飯倉の町の上を横ぎつて行つた。いつぞや遠く獨逸の方から訪れて來た一臺のツェッペリンが、この町の空にあらはれた時は、銀色の機體に黒く記された文字があざやかに讀まれたほどで、やがて光の海を渡る船のやうに遠ざかつて行つたが、あの鋭く美しいものの姿はまだわたしたちの記憶に新しい。今はグライダアのやうなものまで出來て、あの滑翔機の曳航飛行が各地に行はれるだらうといふ噂なぞも、さうめづらしいことではなくなつた。過去數世紀の間、その往來に數週間もしくは數ヶ月を費した太平洋上の交通ですら、僅かに數日間で相接觸することの出來る定期航空路の開設を見るのも最早そんなに遠いことではなからうと言はれ、やがては旅客、商品、および郵便物があたかも田舍から
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