れて反つて光を増す槲《かしは》の葉などの輝くさまは眼もさめるばかり。明るい障子に近くゐて心靜かに讀んで見る書物から受けるさま/″\な感銘の中には、讀者諸君に分けたいと思ふやうなこともすくなくない。その一つをこゝに取り出して見る。
かねてわたしは茅野蕭々氏の著したゲエテ研究を讀みたいと思ひながら、その折もなくてゐたが、先頃町の本屋で黄色い表紙の裝幀も好ましい學生版を買ひ求め、同時に栗原佑氏の譯にかゝるブランデスがゲエテ研究をも求めて來て、この二つを讀み比べて見ることからゲエテのやうな人の生涯をもつとよく考へたいと思ひ、先ず茅野氏の著書から讀みはじめた。同氏の筆はゲエテがその※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]イマア生活の初期の頃に好い影響を受けた幾多の先輩ばかりでなく、彼を啓發した幾多の婦人の方へも讀む者の心を連れて行く。そして同時代に、性格のある種々なすぐれた婦人を知ることの出來た人の幸福に就いて語つてある。その中に、ジャネッテ・ルイゼ・フォン・※[#濁点付き片仮名ヱ、1−7−84]ルテレン夫人のやうな人に關する記事もある。この美しい、垢拔けのした、精神の籠つた、『極めて愛すべき』
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