千曲川のスケッチ
島崎藤村
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)樹《しげる》さん
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)今|綴《まと》める
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#ます記号、1−2−23]
[#…]:返り点
(例)浮雲似[#二]故丘[#一]
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序
敬愛する吉村さん――樹《しげる》さん――私は今、序にかえて君に宛《あ》てた一文をこの書のはじめに記《しる》すにつけても、矢張《やっぱり》呼び慣れたように君の親しい名を呼びたい。私は多年心掛けて君に呈したいと思っていたその山上生活の記念を漸《ようや》く今|纏《まと》めることが出来た。
樹さん、君と私との縁故も深く久しい。私は君の生れない前から君の家にまだ少年の身を托《たく》して、君が生れてからは幼い時の君を抱き、君をわが背に乗せて歩きました。君が日本橋|久松町《ひさまつちょう》の小学校へ通われる頃は、私は白金《しろかね》の明治学院へ通った。君と私とは殆《ほ
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