チは少くなかったが、人に示すべきものでもなかったので、その中から年若い人達の読み物に適しそうなもののみを選み出し、更にそれを書き改めたりなぞして、明治の末の年から大正のはじめへかけ当時西村|渚山《しょざん》君が編輯《へんしゅう》している博文館の雑誌「中学世界」に毎月連載した。「千曲川《ちくまがわ》のスケッチ」と題したのもその時であった。大正一年の冬、佐久良《さくら》書房から一巻として出版したが、それが小冊子にまとめてみた最初の時であった。

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実際私が小諸《こもろ》に行って、饑《う》え渇《かわ》いた旅人のように山を望んだ朝から、あの白雪の残った遠い山々――浅間、牙歯《ぎっぱ》のような山続き、陰影の多い谷々、古い崩壊の跡、それから淡い煙のような山巓《さんてん》の雲の群、すべてそれらのものが朝の光を帯びて私の眼に映った時から、私はもう以前の自分ではないような気がしました。何んとなく私の内部には別のものが始まったような気がしました。
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 これは後になってからの自分の回顧であるが、それほどわたしも新しい渇望を感じていた。自分の第四の詩集を出した頃、
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