直に白く凍る朝なぞはめずらしくない。夜更けて、部屋々々の柱が凍《し》み割れる音を聞きながら読書でもしていると、実に寒さが私達の骨まで滲透《しみとお》るかと思われる……
 雪の襲って来る前は反《かえ》って暖かだ。夜に入って雪の降る日なぞは、雨夜《あまよ》のさびしさとは、違って、また別の沈静な趣がある。どうかすると、梅も咲くかと疑われる程、暖かな雪の夜を送ることがある。そのかわり雪の積った後と来ては、堪えがたいほどの凍《し》み方だ。雪のある田畠《たはた》へ出て見れば、まるで氷の野だ。こうなると、千曲川も白く氷りつめる。その氷の下を例の水の勢で流れ下る音がする。

     学生の死

 私達の学校の生徒でOという青年が亡《な》くなった。曾《かつ》て私が仙台の学校に一年ばかり教師をしていた頃――私はまだ二十五歳の若い教師であったが――自分の教えた生徒が一人亡くなって、その葬式に列なった当時のことなぞを思出しながら、同僚と共にOの家をさして出掛けた。若くて亡くなった種々な人達のことが私の胸を往来した。
 Oの家は小諸の赤坂という町にある。途中で同僚の老理学士と一緒に成って、水彩画家M君の以前住
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