い屋根の下で、百姓らしい話を聞きながら、時を送った。菎蒻《こんにゃく》と油揚の馳走《ちそう》に成って、間もなく私はこの隠居の家を辞した。
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   その十二


     路傍の雑草

 学校の往還《ゆきかえり》に――すべての物が白雪に掩《おお》われている中で――日の映《あた》った石垣の間などに春待顔な雑草を見つけることは、私の楽みに成って来た。長い間の冬籠《ふゆごも》りだ。せめて路傍の草に親しむ。
 南向きもしくは西向の桑畠《くわばたけ》の間を通ると、あの葉の縁《へり》だけ紫色な「かなむぐら」がよく顔を出している。「車花」ともいう。あの車の形した草が生えているような土手の雪間には、必《きっ》と「青はこべ」も蔓《は》いのたくっている。「青はこべ」は百姓が鶏の雛《ひな》にくれるものだと学校の小使が言った。石垣の間には、スプゥンの形した紫青色の葉を垂れた「鬼のはばき」や、平べったい肉厚な防寒服を着たような「きしゃ草」なぞもある。蓬《よもぎ》の枯れたのや、その他種々な雑草の枯れ死んだ中に、細く短い芝草が緑を保って、半ば黄に、半ば枯々としたのもある。私達が学校のあるあたりから士族
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