覚束《おぼつか》ないなア」と水車小屋の亭主も笑って見ていた。
「一俵掛けて見やしょう」
「いくらありやす。出放題《でほうでえ》あるわ。十八貫八百――」
「これは魂消《たまげ》た」
「十八貫八百あれば、まあ好い籾です」
「俵《ひょう》にもある」
「そうです、俵にもありやすが、それは知れたもんです」
「おらがとこは十八貫あれば可いだ」
「なにしろ坊主九分混りという籾ですからなア」
 人々の間にこんな話が交換《とりかわ》された。水車小屋の亭主は地主に向って、米価のことを話し合って、やがて下駄穿のまま籾の上を越して別れて行った。
「どうだいお前の体格じゃ二俵位は大丈夫担げる」
 と地主に言われて辰さんの弟は一俵ずつ両手に抱え、顔を真紅にして持ち上げてみたりなぞして戯れた。
「まあ、お茶一つお上り」
 と辰さんは地主に言って、私にもそれを勧めた。真綿帽子を脱いで屋《うち》の内に入る地主の後に随いて、私も凍えた身体を暖めに行った。「六俵の二斗五升取りですか」
 こう辰さんが言ったのを隠居は炬燵にあたりながら聞咎《ききとが》めた。地主の前に酒徳利の包を解きながら、
「二斗五升ってことが有るもんか。四
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