も開けて、今ではコンクリートの新しい大鳥居まで立つやうになつた。おそらく、讓りに讓ることを徳とせらるゝほどの神は、一切に逆らはず、多くの不調和をも容れて、移り行く世相に對せらるゝことであらう。
大社の主典島君に導かれてあちこちと見て※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つた後、私達は千家邸《せんけてい》で早い晝食の饗應を受けた。古い歴史のある家族がそこに住んでゐた。三朝《みさゝ》温泉の方に病を養つてゐるといふ人の噂も聞いた。不昧公の意匠になると聞く古い庭園は私達が杵築に來て見た最も靜かな場所であつた。そこでも記念にと、揮毫を求められたが、兎角旅の心は落ちつかないで、自分ながら恥かしいものを書きちらした。家扶の星野君といふ人が來て、これは誰とやらの短册、これは誰とやらの色紙、これは誰とやらの書畫帖なぞとうや/\しくそこへ取り出されたのにも恐縮した。時と場合が許して、もつとゆつくりその庭園を眺めることが出來たら、見つけるものも多かつたらうに。惜しい。
汽車の時間が迫つたことを知らされて、私達はあわたゞしく千家邸を辭した。杵築まで同行した小山君にも別れ、今市から更に西の方へ向つた。出
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