れたところで、私達はその話を神社の宮司からも、高津の町長隅崎君からも、そこまで同行した益田の大谷君からも聞いた。
 觀月亭は、この社頭に立つ東屋《あづまや》風の一小亭である。宮司に導かれて私達は松風の音の聞えて來るやうなところに腰掛けた。白い單衣に青い袴を着けた神官の候補者らしい人が山づたひに古い松の根を踏みながら、私達のところへ茶菓を運んで來てくれるのもめづらしかつた。參詣者も多いと見えて社殿の前の柱といふ柱には男や女の名前が一ぱいに書きつけてあつたが、それを押し止めもしないところに宮司の人柄も見えてゐた。いろ/\とよく話す人で古典にも親しみ、和歌の趨勢にも通じ、かうして職務にたづさはる中での新人と見えたが、高津の町の盛衰を一身に負はなければならないやうな宮司としての立場も容易ではないらしい。私達はその東屋の外をも歩いて、松林の間に青い空の見える東の方を望んだ。領巾振山がその方角に見えた。峯のかなたには白い雲も起つてゐた。青田つゞきの村落までも遠く見渡すことの出來るやうな西の方へも行つて立つて見た。高津川はそこに流れてゐた。
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石見《いはみ》のや高角山の木の間よ
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