えかねて様子を見にいらしったのです。旦那様も唖《おし》、私も唖、手附《てつき》で問えば目で知らせ、身振で話し真似で答えて、御互にすっかり解った時は、もう半分|讐《あだ》を復《かえ》したような気に成りました。私も随分|種々《いろいろ》な目に出逢って、男の嫉妬というものを見ましたが、まあその時の旦那様のようなのには二度と出逢いません。恐らく画にもかけますまい。口に出しては仰らないだけ、それが姿《かたち》に顕《あらわ》れました。目は烈しい嫉妬の為に光り輝やいて、蒼ざめた御顔色の底には、苦痛《くるしみ》とも、憤怒《いかり》とも、恥辱《はじ》とも、悲哀《かなしみ》とも、譬《たと》えようのない御心持が例の――御持前の笑に包まれておりました。総身《からだじゅう》の血は一緒になって一時に御頭《おつむり》へ突きかかるようでした。もうもう堪《こら》え切ないという御様子で、舌なめずりをして、御自分の髪の毛を掻毟《かきむし》りました。こう申しては勿体《もったい》ないのですが、旦那様程の御人の好い御方ですら制《おさ》えて制えきれない嫉妬の為めには、さあ、男の本性を顕して――獣のような、戦慄《みぶるい》をなさいま
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