……俺がまた入替りに成って、彼女をも寄《よこ》すわい……御風呂にでも入れてやって御くれ」
こうお種は物静かな調子で答えた。
病院の方へ心が引かれて、お種はそこそこに別れて行ったが、燈火《あかり》の点く頃には、豊世が入替ってやって来た。豊世は行末のことまでも考えるという風で、沈み勝ちに見えた。その晩は遅く成って、豊世の兄、幸作の二人が郷里の方からこの旅舎へ着いた。
翌日の午前は、小泉兄弟を始め、ここへ来て脚絆《きゃはん》を解いた人達が一つ部屋に集って、正太が亡く成った後のことまでも話し合った。
「や、名古屋へ来て、ここの家の娘の踊を見ないということは無い」
と森彦が款待顔《もてなしがお》に言出した。彼は宿の小娘を呼んで、御客様に踊を御目に掛けよ、老婆《おばあ》さんにも来て、三味線《しゃみせん》を引くように、と笑い興じながら勧めた。
こういう中で、正太は病みつつあった。午後に一同が病院を訪ねた時は、正太は興奮した気味で、皆なの見ている前で手足なぞを拭かせたが、股《もも》のあたりの肉はすっかり落ちていた。嘔気《はきけ》があるとかで、滋養物も咽喉《のど》を通らなかった。正太は、豊世の
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