ことで有った。
他の兄弟の話が引出された。お種は、満洲から来た実の便りに、漸く彼も信用のある身《からだ》に成って、東京に留守居するお倉へ月々の生活費を送るまでに漕付《こぎつ》けたことを話し出した。
「三吉にその手紙を見せずと思って……つい郷里《くに》を出る時に忘れて来た」ともお種が言った。
宗蔵の噂も出た。「ああ捨身に成れば、人間は生きて行かれるものだ――彼《あれ》は彼で食える」と森彦は森彦らしいことを言って、笑った。
やがて、女中は誂《あつら》えて置いた鳥の肉を大きな皿に入れて運んで来た。紅《あか》くおこった火、熱した鉄鍋《てつなべ》、沸き立つ脂《あぶら》などを中央《まんなか》にして、まだ明るいうちに姉弟は夕飯の箸《はし》を取った。
「熱い御馳走だが、さあ、やっとくれ」
と森彦は腕まくりして始めた。
肉は焼けてジュウジュウ音がした。見る間に葱《ねぎ》も柔く成った。お種も、三吉も、口をホウホウ言わせながら、甘《うま》そうに汗を流して食った。
「豊世にも食わせてやると好かった」と森彦は懐をひろげて、胸のあたりに流れる汗を押拭《おしぬぐ》った。
「彼女《あれ》は病人を引受けてるで
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