好く書いてある」
 と森彦は幸作からの書面を弟に見せて、高い調子で笑った。
 翌朝、三吉は兄に伴われて病院の方へ行った。玻璃戸《ガラスど》のはまった長い廊下に添うた二階の一室に、橋本正太とした札が掲《か》けてあった。二間つづきに成って、一方に窓のある明るい室が患者の寝台《ねだい》の置いてあるところ、その手前が看護するものの部屋であった。そこで三吉は、お種や豊世とも一緒に成った。
 正太は、叔父達の来たことも知らずに、暗く黒ずんだ顔を敷布に埋めながら眠っていた。そのうちに大きな眼を開いて、驚いたように三吉の方を見た。
「オオ、眼が覚《さ》めたそうな。いくらかでも寝られて反《かえ》って可かった。三吉叔父さんも被入《いら》しって下すったよ」
 とお種は正太の枕許《まくらもと》へ行って、母らしい調子で言った。正太は半ば身を起して、叔父達に一礼したが、復た寝台の上に倒れた。痩《や》せ細った手で豊世を招いて、自分の口を指して見せる。やがて豊世が勧める水薬で乾き粘った口を霑《うるお》して、
「是非一度叔父さんに御目に掛って置きたいと思いまして……電報はすこし大袈裟《おおげさ》かとも思いましたが、わざ
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