る森彦へ宛《あ》てて、病人のことを電報で問合せた。都合して来いという返事が来た。何を措《お》いても、彼は名古屋の方へ行こうと思い立った。それをお雪にも話した。
正太を見舞いに行く前の晩、三吉は種々なことで多忙《いそが》しい思をした。甥《おい》が病んでいることを、せめて向島の女にも知らせて遣《や》りたいと思った。言伝《ことづけ》でもあらばと思って、人を通して、電話で伝えさせた。小金も、その母親も、共に病床にあるということが、その時解った。
こうして三吉は復《ま》た名古屋行の汽車に揺られて行くように成ったのである。彼が森彦の旅舎《やどや》へ着いたのは、日暮に近い頃であった。
東京から見ると暑い空気の通う二階の窓のところで、兄弟は正太の病状を語り合った。病院の方へはお種も来ているとのことであった。森彦は片端から用務を処理するような口調で、橋本の姉が近年にない静粛な調子の人であることや、幸作からも便りがあって、もし彼の行商中に万一の事でもあったら、死体は名古屋で焼くように、そして遺骨として郷里の方へ送るように、と頼んで来たことなぞを話した。
「いかに言っても、これは早手廻しだ――しかし、
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