もうすこし宅も何か為《し》そうなものでしたが……」
こういう話から引出されて、豊世は橋本の舅《しゅうと》が家出の当時のことや、生家から電報が来て、帰って行ってみると、それぎり引留められて了うところであったことや、実に恋人の方へ行く女の心で彼女は正太の方へ逃げて来たものであることなぞを言出した。
豊世はまだ聞いて貰いたいという風で、ある時自分の一生を卜《うらな》って貰ったことがあった。「貴女は優しい人ですが、何処《どこ》か一箇処《ひととこ》、男性《おとこ》のようなところが有る――そこを気を着けなければ不可《いけない》」とその卜者《えきしゃ》が言ったとか。そんなことまで言出した。
「叔父さんの言葉で言えば、まあ親が出て来るんでしょうよ」
こう言って、豊世は寂しそうに笑った。
遊び盛りのお雪の子供等は表の入口を出たり入ったりしつつあった。三番目の男の児も、最早どうにかこうにか歩ける頃で、母親の方へ来たり、女中の方へ往《い》ったりしていた。
「オヤ、可笑《おか》しい、母さんのお乳を捜したりなぞして」
と豊世に言われて、子供は母親の懐《ふところ》に入れた手を引込ました。
「ナイナイしま
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