から話しました」
 豊世は切ないという眼付をして、「橋本の母親さんからは、早く名古屋の方へ行って、看病してやっておくれ、と言って来ますし……生家《さと》の母からは、また……是非|是方《こっち》へ帰って来いなんて……真実《ほんと》に、親達は、先《ま》ず自分の子の方のことを考えてますよ。でも、生家の母も、私が可哀想だと思うんでしょう……」
「正太さんも可哀想ですし、貴方も可哀想です」
 と叔父に言われて、豊世は自分で自分を憐《あわれ》むように、
「私も、行って看病してやりますわ……今までだって、叔父さん、私の方で居てやったようなものですもの……」


「豊世さん――貴方がたは結婚なすってから、今年で何年に成りますネ」と三吉は巻煙草の灰を落しながら言出した。
「丁度十一年――」と豊世も過去ったことを思出したように。
「して見ると僕等よりは一年後でしたかねえ」
「たしか、橋本の番頭さんが薬を負《しょ》って吾家《うち》へ被入《いらし》って、あの時豊世さんのお嫁さんに被入《いら》しったことを伺いましたっけ」とお雪も言葉を添える。
「そうでしたねえ、あの時叔母さんからも御手紙なぞを頂きましたっけねえ
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