な顔をして、
「そこだに」
と直ぐ眼前《めのまえ》にある桑畠を指して見せた。
連の男は迎えに来た。村を横に切れて、田畠の間の細い道を小山の方へ登ると、小泉の先祖が建立《こんりゅう》したという古い寺がある。復た三吉は独りで山腹の墓地へ廻って見た。寺の名と同じ戒名《かいみょう》を刻んだ先祖の墓の前を通り過ぎて、墓地の出はずれまで行った。その眺望の好い、静かな一区域は、父母の眠っている場所だ。幸作に頼んで作った新しい墓石は墳《つか》の前に建ててあった。
幼い記憶が浮んで来た。以前から見ると明るく成った樹木の間から、三吉は村の家々を望んだ。「旦那衆」の住居は多くは焼けて小さく成った。昔は頭の挙らなかった百姓の部落の方に沢山新らしい家が建込んでいた。
旧い馴染《なじみ》の人達は、何時《いつ》までも三吉を独りにしては置かなかった。その翌日は、彼は寺の広間で、墓参の為に集って来た遠い近い親戚とか、出入の百姓とか、その他小泉の昔を忘れずにいる男や女の多勢ゴチャゴチャ集った中に居た。
三日目に三吉は以前の隣家へ移った。大きな酒屋を営んでいた家で、小泉の屋敷跡も今ではその所有に成っている。二階の
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