外套を無理やりに引取った。この男は、「カルサン」を穿《は》いて、三吉の荷物まで自分の肩に掛けていた。
「構って下さらない方が、私は難有《ありがた》いんです。今度は唯墓参りに来たんです」
こう話し話し行く三吉は、高い山の上の日のあたった道を歩いていた。旧い馴染《なじみ》の人達に見つからないうちに、彼は独りで、自分の生れた家の跡を見て廻ろうとした。途中で、寺の方へ向う連の男に別れた。
洋服に草鞋穿《わらじばき》で、寂しい旅人のように、三吉は村へ入った。ずっと以前大火があって駅路の面影《おもかげ》もあまり残っていなかった。そこは美濃路《みのじ》の方へ下りようとする山の頂にあった。傾斜に成った道の両側には、新規に建った家だの、焼残った家だのが、樹木の間に出たり引込んだりして並んでいた。畠に成っているところもあった。
石垣の上には十一二ばかりに成る女の児が遊んでいた。猿羽織というものを着て、何処の人が通るかと三吉の方を見ていた。三吉は勝手が違ったように、心覚えの場所を探した。
「ここらに小泉という家があった筈《はず》ですが――知りませんか」
とその女の児に一寸《ちょっと》尋ねた。小娘は妙
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