れないという風であった。
お種は肩を怒らせて、襲って来る敵を待受けるかのように、表座敷の方を見た。
「なんでも彼等は旦那や俺の遣方《やりかた》が悪いようなことを言って――無暗《むやみ》に金を遣《つか》うようなことを言って――俺ばかり責める。若い者なぞに負けてはいないぞ。さあ――責めるなら責めて来い――」
橋本の炉辺では盛んに火が燃えた。三吉が着いて三日目――翌日は彼も姉の家を発《た》つと言うので――豊世やお島やお仙が台所に集って、木曾名物の御幣餅《ごへいもち》を焼いた。お種は台所を若いものに任せて置いて弟の方へ来た。
三吉は庭に出て、奥座敷の前をあちこちと見廻っていた。以前この庭の中で、家内《うち》中|揃《そろ》って写真を撮《と》ったことがある。それを三吉が姉に言って、達雄が立って写した満天星《どうだん》の木の前へ行きながら、そこは正太が腰掛けたところ、ここは大番頭の嘉助が禿頭《はげあたま》を気にしたところ、と指して見せた。彼は自分で倚凭《よりかか》って写した大きな石の間へ行って見た。その石の上へも昇った。
お種は、どうかすると三吉がずっと昔の鼻垂小僧《はなたらしこぞう》の
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