ように思われる風で、
「三吉、お前がそんなことをしてるところは、正太に酷《よ》く似てるぞや」
 こう言って、彼女も座敷から庭へ下りた。姉は自分が培養している種々な草木の前へ弟を連れて行って見せた。山にあった三吉の家から根分をして持って来た谷の百合には赤い珊瑚珠《さんごじゅ》のような実が下っていた。こうして、花なぞを植えて、旧い家を夢みながら、未だお種は帰らない夫を待っているのであった。
 新座敷は奥座敷とつづいてこの庭に向いている。その縁側のところへ来て、お仙が父の達雄に彷彿《そっくり》な、額の広い、眉の秀《ひい》でた、面長な顔を出した。彼女は何を見るともなく庭の方を見て、復た台所の方へ引込んで了った。
 木曾路《きそじ》の紅葉を思わせるような深い色の日は、石を載せた板葺《いたぶき》の屋根の上にもあった。お種は自分が生れた山村の方まで思いやるように、
「三吉が行くなら、俺も一緒に御墓参をしたいが――まあ、俺は御留守居するだ」
 独語《ひとりごと》のように言って、姉は炉辺の方へ弟を誘った。
 午後に、お雪から出した手紙が三吉の許へ着いた。奥座敷の縁側に近いところで、三吉はその手紙を姉と一
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