事業を助ける為に送っているということを話した。お仙を連れて空しく東京を引揚げてからのお種は、実に、譬《たと》えようの無い失望の人であった――こんなことを話した。
「兄様《あにさま》さえ好くやってくれたら、私は何事《なんに》も言うことは無い――私は今、兄様の為に全力を挙げてる――一切の事はそれで解決がつく」
と幸作は力を入れて言った。
姑と若夫婦と両方から話を聞かされて、三吉は碌《ろく》に休むことも出来なかった。その晩も、彼は奥座敷の方へ行って、復たお種の歎《なげ》きを聞いた。姉は遅くなるまで三吉を寝かさなかった。
夜が更《ふけ》れば更るほどお種の眼は冴《さ》えて来た。
「姉さん、若いものに任せて置いたら可いでしょう」
と三吉が言うと、姉はそれを受けて、
「いえ、だから俺は何事《なんに》も言わん積りサ――彼等《あれら》が好いように為て貰ってるサ――」
こういう調子が、どうかすると非常に激して行った。幸作夫婦が始めようとする新しい生活、ドシドシやって来る鉄道、どれもこれもお種の懊悩《なやま》しい神経を刺戟《しげき》しないものは無かった。この破壊の中に――彼女はジッとして坐っていら
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