た。額だけ掛けてあった。三吉は川に向いた縁側の欄《てすり》のところへ出てみた。
「豊世さん、顔色が悪いじゃ有りませんか。どうかしましたかネ」
「すこし……でも、この節は宅もよく家に居てくれますよ……何事《なんに》も為ませんでも、家で御飯を食べてくれるのが私は何よりです……」
叔父と豊世とはこんな言葉を替《かわ》しながら、薄く緑色に濁った水の流れて行くのを望んだ。豊世は愁《うれ》わしげに立っていた。
「どうかしますと、私は……こう胸がキリキリと傷《いた》んで来まして……」
こう訴えるような豊世の顔をよく見て、間もなく三吉は正太の方へ引返した。
玄関の隅《すみ》には、正太が意匠した翫具《おもちゃ》の空箱が沢山積重ねてあった。郷里《くに》から取寄せた橋本の薬の看板も立掛けてあった。復た逢う約束をして、三吉は甥に別れた。
「正太さんを褒《ほ》めるのは貴方ばかりだ」
お雪が自分の家の二階で、夫に話しているところへ、勝手を知った豊世が階下《した》から声を掛けて上って来た。
「叔母さん、御免なさいよ。御断りも無しで入って来て――」
と豊世は親しげな調子で挨拶《あいさつ》した。
正太が
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