と三吉は、時々町中に佇立《たたず》んで、子供の歩いて来るのを待った。幾羽となく空を飛んで来た鳥の群が、急に町の角を目がけて、一斉に舞い降りた。地を摺《す》るかと思うほど低いところへ来て、鳴いて、復た威勢よく舞い揚った。チリヂリバラバラに成った鳥は、思い思いの軒を指して飛んだ。
「最早|燕《つばめ》が来る頃に成りましたかネ」
 と三吉は立って眺めた。
 電車で上野の停車場《ステーション》まで乗って、一同は待合室に汽車の出る時を待った。老人はすこしも静止《じっと》していなかった。どうかすると三吉の前に立って、若い者のような声を出して笑った。
 お雪の側には、二人の子供がキョロキョロした眼付をして、集って来る旅客を見ていた。老人はその方へ行った。かわるがわる子供の名を呼んで、
「皆な温順《おとな》しくしてお出――復た老爺《おじい》さんが御土産《おみや》を持って出て来ますぜ」
「名倉の老爺さんが復た御土産を持って来て下さるトサ」とお雪は子供に言い聞かせた。
「この老爺さんも、未だ出て来られる……」
 こう老人はお雪を見て言って、復た老年らしい沈黙に返った。
 発車の時間が来た。三吉夫婦はプラッ
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