とう》に森彦さんには通じないような気がした。言い方も悪かったが。唯、田舎へでも引込め――そういう意味に釈《と》られて了った」
「そりゃ、叔父さん、森彦さんには出来ない相談です。あの叔父さんは、第一等の旅館に泊って、第一等の宿泊料を払って行く人です。苦しい場合でも、そうしないでは気の済まない人です。草鞋穿《わらじばき》で、土いじりでもしながら、片手間に用務を談ずるなんて、そういう気風の人じゃ有りません」
「極く平民的な人のようだが、一面は貴族的だネ。どうしても大きな家に生れた人だネ。すこし他《ひと》が難渋して来ると、なアに俺がどうかしてやるなんて――御先祖の口吻《くちぶり》だ」
 こう話し合って見ると、二人は森彦のことを言っていながら、それが自然と自分達のことに成って来るような気がした。旧家に生れたものでなければ無いような頽廃《たいはい》の気――それを二人は互に嗅《か》ぎ合う心地もした。
「森彦さんから、僕に二百円ばかり造れと言うんサ」と三吉は以前の話に戻って、「それがネ。真実《ほんとう》にあの人の為に成ることなら、どんなことをしても僕は造るサ。特にその為に一作するサ。どうも今日《こんに
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