並んだところへ出た。そこは三吉がよく散歩に行く河岸《かし》である。石垣の下には神田川が流れている。繁華な町中に、こんな静かな場処もあるかと思われる位で、薄く曇った二月末の日が黒ずんだ水に映っていた。
船から河岸へ通う物揚場の石段の上には、切石が袖垣《そでがき》のように積重ねてある。その端には鉄の鎖が繋《つな》いである。二人はこの石に倚凭《よりかか》った。満洲の方の噂《うわさ》が出た。三吉は思いやるように、
「両雄相会して、酒でも酌《く》むような時には――さぞ感慨に堪《た》えないことだろうナ」
正太も思いやるような眼付をして、足許《あしもと》に遊んでいる鶏を見た。
水に臨んだ柳並木は未だ枯々として、蕭散《しょうさん》な感じを与える。三吉はその枝の細く垂下った下を、あちこちと歩いた。やがて正太の方へ引返して来た。
「正太さん、君の仕事の方はどうなんですか――未だ遊びですか」
こう言って、石の上に巻煙草を取出して、それを正太にも勧めた。
正太は沮喪《そそう》したように笑いながら、「折角、好い口があって、その店へ入るばかりに成ったところが……広田が裏から行って私の邪魔をした。その方も
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