づく二人は二大家族の家長達の運命を思った。
 三吉は旅の話に移った。一週間ばかり家を離れたことを話した。山間の谿流《けいりゅう》の音にしばらく浮世を忘れた連の人達も、帰りの温泉宿では家の方の話で持切って、皆な妻子を案じながら帰って来たなどと話した。
 古い港の町、燈台の見える海、奇異《きたい》な女の風俗などのついた絵葉書が、そこへ取出された。三吉は思いついたように、微笑《えみ》を浮べながら、
「どうです、向島へ一枚出してやろうじゃ有りませんか」
 叔父の戯を、正太も興のあることに思った。彼は自分で小金の宛名《あてな》を認《したた》めて、裏の白い燈台の傍には「御存じより」と書いた。この「御存じより」が三吉を笑わせた。彼も何か書いた。
 三吉は立ちがけに、
「豊世さんが聞いたら苦い顔をすることだろうネ……」
 こう言って復《ま》た笑った。
 正太はヒドく元気が無かった。絵葉書を懐中《ふところ》にしながら階下《した》へ降りて、名倉の老人の側を通った。三吉も、勝手の方で働いているお雪に言葉を掛けて置いて、甥《おい》と一緒に歩きに出た。


 蔵つづきの間にある狭い路地を通り抜けて、二人は白壁の
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