た。娘達の中には、縁先に来て、涼しそうな鳴海絞《なるみしぼり》を着た種夫や新吉に、金魚を見せているものも有った。
「お雪、皆なで写真を撮《と》ろうじゃないか。お前達は子供を連れて先に写してお出。俺《おれ》は正太さんと二人で写す」
と三吉は妻を呼んで言った。お雪は嬉しそうに微笑んだ。往来にはゾロゾロ人の通る足音がした。
夕方から、表の木戸を開けはらって、風通しの好い簾の影で、一同揃って冷麦を食った。
「世が世なら、伝馬《てんま》の一艘も買切って押出すのにナア」
と正太は白い扇子《せんす》をバチバチ言わせながら、叔父と一緒に門の外へ出て見た。
「お俊ちゃん達もいらっしゃいな」
お雪は娘達を呼んで、豊世と一緒に入口の庭へ下りた。町中のことで、往来の片隅《かたすみ》に涼台を持出して、あるものは腰掛け、あるものは立って通る人々の風俗を眺《なが》めた。
「お俊ちゃんは島田に結っていらっしゃれば可いのに。好く似合いますわ」と豊世はお俊の方を見た。
「此頃《こないだ》もネ、お俊姉さんのは催促髷《さいそくまげ》だなんて、皆なでサンザン冷かしました。ですから姉さんは結っていらっしゃらないんです
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