よ」
 こうお絹が言出したので、娘達は皆な笑った。
「絹ちゃんは感心に、田舎訛《いなかなまり》が出ないこと」と豊世は言って見た。
「郷里《くに》で稽古《けいこ》して来たんですもの」とお絹はすこし下を向いた。
「延ちゃんは、もうすっかり東京言葉だ」とお雪も娘達の発達に驚くという眼付をした。
 群集は町を隔てて潮のように押寄せて来ている。花火の音と一緒に、狂喜する喚声《さけびごえ》が遠く近く響き渡る。正太と三吉は、河岸を一廻りして戻って来た。娘達は揃《そろ》って出掛けようとした。
「ハイカラねえ」
 とお延は、町を通る若い娘を叔父に指してみせて置いて、連《つれ》の後を追った。
 お雪は子供を見に家の内へ入ったが、やがて茶を入れて涼台のところへ持って来た。豊世も煙草盆を運んだ。
「お俊ちゃんから今日話がありましたが」とお雪は夫の傍へ寄って、「お祝の時には、私の帯を貸して下さいッて」
「帯は自分のが有るじゃないか」と三吉が言った。
「御婚礼の時の着物に似合わないんですッて」
「じゃあ、貸して進《あ》げるサ」
 こんな内輪話をしている叔母を誘って、豊世は河岸の方へ歩きに出掛けた。涼台のところには
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