ていた。
「宅は後から伺いますって」と豊世は微笑《ほほえ》んで、「どうして、宅がこんな日に静止《じっと》していられるもんですか」
「今、豊世さんから伺ったんですが」とお雪は夫に、「塩瀬の御店もイケなく成ったそうです」
「叔父さんは未だ御聞きに成りませんか」と豊世が言った。
「いよいよ駄目なんですか。好い店のようでしたがナ。そいつは正太さんも気の毒だ」
「真実《ほんと》に相場師ばかりは、明日のことがどう成るか解りませんネ。川向に居ます時分――あの頃のことを思うと、百円位のお金は平素《しょっちゅう》紙入の中に入っていたんですがねえ」と言って、豊世は萎《しお》れて、「そう言えば、森彦叔父さんにああ言って頂いたんで、宜う御座んしたよ。あのお金を借りて持っていようものなら、それこそ――今頃はどう成っているか解りません」
三吉はお雪と顔を見合せた。
「私もツマリませんから、花火でも見て遊びますわ」と豊世は嘆息した。
お雪は着物を着更えた。豊世は叔父から巻煙草を分けて貰って、眼を細くしながらそれを吸った。三吉も煙草を燻《ふか》していたが、やがて独《ひと》りで二階へ上って行った。
黄色い花火
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