七
昼間から花火の音がする。
両国に近い三吉の家では、毎年川開の時の例で、親類の娘達を待受けた。豊世も、その日約束して置いて、誰よりも先にお雪のところへ遊びに来ていた。
「よくそれでも、叔母《おば》さんは子供の世話を成さいますねえ」
「私だって心から子供が好きじゃ有りません」
叔母のような家庭的な人の口から、意外な答を聞いたという面持で、豊世は母衣蚊屋《ほろがや》の内にスヤスヤ眠っている乳呑児《ちのみご》の方を眺めた。そこへ二番目の新吉を背負《おぶ》った下婢《おんな》に連れられて、種夫が表の方から入って来た。
「種ちゃんも、新ちゃんも、オベベを着更えましょう。今に姉さん方がいらっしゃるよ」とお雪が言った。
「どれ、種ちゃんは叔母さんの方へいらっしゃい」と豊世は種夫に手招きして見せて、「豊世叔母さんが好くして進《あ》げましょうネ」
幼い兄弟は揃《そろ》いの新しい浴衣《ゆかた》に着更えた。丁度、三吉は町まで用達《ようたし》に出掛けた時で、子供に金魚を買って戻って来た。
「正太さんは?」
三吉は豊世の顔を見て尋ねた。お種を送りながら郷里《くに》の方へ行った正太も、最早引返して来
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