た。
「三吉――もう俺も親類廻りは済ましたし、是頃《こないだ》の晩のようなことが有ると可恐《おそろ》しいで、サッサと郷里《くに》の方へ帰るわい」
 こう話しているところへ、お仙も来て、名残《なごり》惜しそうに叔父の方を見たり、二階から見える町々の光景《さま》などを眺めたりした。
「なあ、お仙」とお種は娘の方を見て、「三吉叔父さんにも御目に掛ったし、これでお前も気が済んだずら……早く仕度をして帰るまいかや」
「ええ、田舎《いなか》の方が安気《あんき》で好い。兄さんや姉さんの傍に居られるだけは、東京も好いけれど――」とお仙は皆なの顔を見比べながら言った。
 三吉が別れを告げて、この家を出たのは町に燈火《あかり》の点《つ》き始める頃であった。薄暗く成って、復た三吉は引返して来た。つづいて森彦も入って来た。
「オヤ、三吉叔父さん、森彦叔父さんも御一緒に……」
 と豊世は迎えに出た。二人の叔父は用事ありげに下座敷へ通った。
「叔父さん達は御風呂は如何《いかが》ですか」と豊世は款待顔《もてなしがお》に、「今日は、郷里《くに》へ帰る人の御馳走に立てましたところですが――」
「それじゃ、とにかく一ぱい
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