達雄との会見――今にそれを姉が言出すか言出すかと、三吉は心に思っていた。お種は、弟の方で待受けたようなことを何事《なんに》も言出さずじまいに、郷里の方の変遷《うつりかわり》などをいろいろと語り聞かせた後で、一緒に階下《した》へ降りた。
 お雪は眼の覚《さ》めた銀造を抱き擁《かか》えて、
「へえ、伯母ちゃん、銀ちゃんを見て下さい」
「オオ、温順《おとな》だそうな。白い前掛《まいか》を掛けて――好い児だ、好い児だ」とお種は孫でもアヤすように言った。
「この通りの子持で御座いますから、いずれ私は夜分にでも伺います」
「お雪さん、御待ち申していますよ。お仙にも逢《あ》ってやって下さい」


 それから一週間ばかり、お種は逗留《とうりゅう》した。そこそこに帰郷の仕度を始めたと聞いて、親戚はかわるがわる正太の家を訪ねた。三吉も別れかたがた出掛けて行った時は、お俊、お延なぞの娘達が集って来ていた。森彦の二番目の娘で、遊学のために上京したお絹も来ていた。
「三吉、御免なさいよ。今髪を結って了いますから」
 とお種は階梯《はしごだん》の下に近く鏡台を置いて、その前に坐りながら挨拶《あいさつ》した。お種の
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