りましたろう」
こういう弟の話を、お種は直に吾児《わがこ》の方へ持って行った。
「今度、出て来てみたら、正太の家には妙なものが掛けてある。何様とかの御護符《おふだ》だげナ。そして、一寸したことにも御幣を担《かつ》ぐ。相場師という者は皆なこういうものだなんて……若い時はあんな奴じゃなかったが……」
「しかし、正太さんはナカナカ面白いところが有りますよ。ウマくやってくれると宜《よ》う御座んすがネ」
「まあ、彼《あれ》は、阿爺《おとっ》さんから見ると、大胆なところが有るで――」
お種は言い淀《よど》んで、豊世から聞いた正太と他の女との関係を心配そうに話した。
「アア向島の芸者のことですか」
「それサ」
「へえ、豊世さんは心配してるんですかネ。そんな話は、疾《とっ》くにどうか成ったかと思っていた」
「ところがそうで無いらしいから困るテ……豊世もあれで、森彦叔父さんなら何事《なん》でも話せるが、どうも三吉叔父さんは気遣《きづか》いだなんて言ってる」
こうお種が言って笑ったので、三吉の方でも苦笑《にがわらい》した。
お雪は姉の馳走《ちそう》に取寄せた松の鮨《すし》なぞを階下《した》から運ん
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