いうことに成って来た。鶴に養子をする――そのつもりで兄貴も出て行ったんです。鶴が居なく成った。俊はどうしたものか。私なら親の方に残るという説と、私はお嫁に行っても差支《さしつかえ》ないと思うという説と、女達の間に問題に成っているんです」
「私も婚約を破るということは、不賛成です。結納でも交換《とりかわ》してなければ格別、交換してある以上は、無論これは夫婦にすべきものと思います」
「僕も、まあそう思うがネ」
「叔父さん、お俊ちゃんの方が先へお嫁に行ったと思って御覧なさい。後で鶴ちゃんが死んだとしましょう。どうすることも出来ないじゃ有りませんか」
「当人同志の意志を重んじなけりゃ成らんネ。俊もウマクやってくれると可いがナ。これで、君、俊が嫁に行き、鶴が死に……でしょう。これから兄貴がどう盛返《もりかえ》すか知らんが――長い歴史のある小泉の家は、先《ま》ず事実に於《お》いて、滅びたというものだネ」
しばらく二人は、夕日を眺めて、黙って相対していた。
「正太さん、君なり、僕なり、俊なりは……言わば、まあ旧い家から出た芽のようなものさネ。皆な芽だ。お互に思い思いの新しい家を作って行くんだネ」
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