図した災難が因《もと》で、お鶴は発熱するように成ったのであった。
 間もなくお鶴は病院の方へ運ばれた。一週間ばかり煩《わずら》った後で、脳膜炎で亡くなった。
 河岸《かし》の柳の花も落ち始める頃、三吉は不幸な娘の為に通夜をする積りで、お俊の家をさして出掛けた。お雪も、子供を下婢《おんな》に托《たく》して置いて、夫よりは一歩《ひとあし》先《さき》に出た。
 親戚は実の留守宅へ集って来た。森彦、正太夫婦を始め、お俊が父方の遠い親戚とか、母方の縁者とか、そういう人達まで弔《くや》みを言い入れに来た。混雑《ごたごた》したところへ、丁度三吉も春先の泥をこねてやって来た。「鶴《つう》ちゃんも、可哀そうなことをしましたね」こういう言葉が其処《そこ》にも是処《ここ》にも交換《とりかわ》された。台所の方には女達が働いていた。
「ここの家は神葬祭だネ。禰宜《ねぎ》様を頼まんけりゃ成るまい」と森彦はお倉の方を見て言った。
「宗さんの旧《ふる》い歌仲間で、神主をしてる人があります」とお倉が答えた。「母親《おっか》さんの生きてる時分には、よくその人を頼んで来て貰いました」
「よし。では、正太は気の毒だが、その禰
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