せた。
「折角、姉さんに来て頂いたんですけれど、今日は困りましたナア」
と三吉は額に手を宛てた。とにかく、増額を承諾した。金は次の日お俊に取りに来るようにと願った。
お俊が縁談も出た。
「御蔭様で、結納《ゆいのう》も交換《とりかわ》しました。これで、まあ私もすこし安心しました」
とお倉はお雪の方を見て言った。
この縁談が纏《まと》まるにつけても、お俊の親に成るものは森彦と三吉より他に無かった。森彦の発議で、二人はお俊の為に互に金を出し合って、一通りの結婚の準備《したく》をさせることにした。
「姉さん、まあ御話しなすって下さい。私は多忙《いそが》しい時ですから一寸失礼します」
こう言い置いて、三吉は二階の部屋へ上って行った。
仕事は碌《ろく》に手につかなかった。三吉が歩きに行って来た方から射し込む日は部屋の障子に映《あた》った。河岸の白壁のところに見て来た光は、自分の部屋の黄ばんだ壁にもあった。それを眺めていると、仕事、仕事と言って、彼がアクセクしていることは、唯身内の者の為に苦労しているに過ぎないかとも思わせた。
「一寸俺は用達《ようたし》に行って来る。着物を出してくん
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