たたか》い日は彼の眼に映った。その焦々《いらいら》と萌《も》え立つような光の中には、折角彼の始めた長い仕事が思わしく果取《はかど》らないというモドカシさが有った。稼《かせ》ぎに追われる世帯持の悲しさが有った。石垣に近く漕《こ》いで通る船は丁度彼の心のように動揺した。
三吉は土蔵の間にある細い小路《こうじ》の一つを元来た方へ引返して行った。彼はこういう小路だけを通り抜けて家まで戻ることが出来た。
お俊の母親が彼を待受けていた。
「姉さんが先刻《さっき》から被入《いらし》って、貴方を待ってますよ」
とお雪は長火鉢の傍で言った。煙草を吸付けて、それを嫂《あによめ》にすすめていた。
金の話はとかく親類を気まずくさせた。それに仕事の屈託で、髪も刈らず髭《ひげ》も剃《そ》らず、寝起のように憂鬱《ゆううつ》な三吉の顔を見ると、お倉は言おうと思うことを言い兼ねた。不幸な嫂の話は廻りくどかった。
「畢竟《つまり》、先方《さき》の家では宗さんの世話が出来ないと言うんですか」
こう言って三吉は遮《さえぎ》った。
「いえ、そういう訳じゃ無いんですよ」とお倉は寂しそうに微笑《ほほえ》みながら、「先方だ
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