たに、見て下さい」
 と在から奉公に来ていた下女も、そこへ末の子供を抱いて来て見せた。厚着をさせてある頃で、お繁は未だ匍《は》いもしなかったが、チョチチョチ位は出来た。漸く首のすわりもシッカリして来た。家の内での愛嬌者《あいきょうもの》に成っている。
「よし。よし。さあもう、それでいいから、皆な行ってお休み」
 こう三吉が言ったので、お房もお菊も母の方へ行った。お雪は一人ずつ寝巻に着更えさせた。下女は人形でも抱くようにして、柔軟《やわらか》なお繁の頬へ自分の紅い頬を押宛てていた。
 やがて三人の子供は枕を並べて眠った。
「一号、二号、三号……」
 この自分から言出した串談《じょうだん》には、三吉は笑えなく成った。彼の母は、死んだものまで入れると八人も子供を産んでいる。お雪の方にはまた兄妹が十人あった。名倉の姉は今五人子持で、※[#「※」は○の中にナ」、215−7]の姉は六人子持だ。何方《どちら》を向いても子供沢山な系統から来ている……
 翌日《あくるひ》、三吉は学校の方へ形式ばかりの辞表を出した。そろそろ彼の家では引越の仕度に取掛った。よく郊外の噂《うわさ》が出た。雨でも降れば壁が乾く
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