お雪さん」とお種は勉の写真を取上げて、「この方がお福さんの旦那さんですか」
「ええ」
「三吉も、彼方《あちら》で皆さんに御目に掛って来たそうですが……やはりこの方は名倉さんの御養子の訳ですネ。商人は何処《どこ》か商人らしく撮《と》れてますこと」
 こう言ってお種は眺めた。
「菊ちゃん、そんなに写真を玩具《おもちゃ》にするんじゃ有りませんよ」
 と母に叱られても、子供は聞入れなかった。お種は針仕事を一切《ひときり》にして、前掛を払いながら起立《たちあが》った。
「さあ、房ちゃんも菊ちゃんも、伯母さんと一緒にいらっしゃい――復た御城跡の方へ行って見て来ましょう」
 お種は帯を〆《しめ》直して、二人の子供を連れて出て行った。お雪の側には、そこに寝かしてあったお繁だけ残った。部屋の障子の開いたところから、何となく秋めいた空が見える。白いちぎれちぎれの雲が風に送られて通る。
「姉さんは?」と三吉が学校から帰って来て聞いた。
「散歩がてらオバコの実を採りにいらっしゃいました――子供を連れて」
「そんな物をどうするんかネ」
「髪の薬に成さるとかッて――煎《せん》じて附けると、光沢《つや》が出るんだそ
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