うです――なんでも、伊東の方で聞いてらしったんでしょう」
三吉は小倉の行燈袴《あんどんばかま》を脱捨てて、濡縁《ぬれえん》のところへ足を投出した。
「それはそうと、姉さんは木曾《きそ》の方へ子供を一人連れて行きたがってるんだが――どうだネ、繁ちゃんを遣《や》ることにしては」
こんなことを夫が言出した。お雪は答えなかった。
「こう多勢じゃヤリキレない」と言って三吉はお繁の寝ている様子を眺めて、「姉さんに一人連れてって貰えば、吾儕《われわれ》の方でも大に助かるじゃないか……しきりに姉さんがそう言うんだ……」
「そんなことが出来るもんですか」とお雪は言葉に力を入れた。
三吉は嘆息して、「姉さんだっても寂しいんだろうサ……そりゃ、お前、正太さんには子供が無いから、あるいは長く傍に置きたいと言うかも知れないし、くれろと言うかも知れない。その時はその時サ。当分姉さんが繁ちゃんを借りて行って、育てて見たいと言うんだ。どうだネ、お前は――俺《おれ》は一人位貸して遣っても可いと思うんだが」
「貴方は遣る気でも、私は遣りません――そんなことが出来るか出来ないか考えてみて下さい――」
「預けたって、お
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