、ある時は又、みすみす私が傍に附いていながら、そんな女に子供まで出来たと言われては、世間へ恥かしい、いかに言ってもナサケないことだ、と考えたりしたんです。間もなく女は旦那の児を産落しました。月不足《つきたらず》で加《おまけ》に乳が無かったもんですから、満《まる》二月とはその児も生きていなかったそうですよ――しかし、旦那も正直な人サ――それは気分が優《やさし》いなんて――自分が悪かったと思うと、私の前へ手を突いて平謝《ひらあやま》りに謝る。私は腹が立つどころか、それを見るともう気の毒に成ってサ……ですから、今度だっても旦那が思い直して下さりさえすれば……ええええ、私は何処《どこ》までも旦那を信じているんですよ。豊世とも話したことですがネ。私達の誠意《まごころ》が届いたら、必《きっ》と阿父《おとっ》さんは帰って来て下さるだろうよッて……」
「伯母さん、お化粧《つくり》するの?」とお房は伯母の側へ来て覗《のぞ》いた。
「伯母さんだって、お化粧するわい――女で、お前さん、お化粧しないような者があらすか」
お雪や子供と一緒に町の湯から帰って来たお種は、自分の柳行李《やなぎごうり》の置いてあ
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