、最早《もう》こんなに笑っています」
「ホ、御機嫌《ごきげん》が直ったそうな」とお種はアヤして見せて、「これは好い児だ」
「私共のようにこう多勢でも困りますけれど、貴方の許《ところ》でも御一人位……」
「どうも豊世には子供が無さそうですテ……」
「真実《ほんと》に、分けて進《あ》げたい位だ」と三吉が笑った。
「くれるなら貰うわい」とお種は串談《じょうだん》のように言って、「しかしこれは皆な持って生れて来るものだゲナ。持って生れて来ただけは産む……そういうように身体に具《そな》わっているものと見えるテ――授からん者は仕方ない」
「なにしろ、私のところなぞは書生ばかりで始めた家でしょう――」と三吉は言った。「菊ちゃんが出来て、私が房ちゃんを抱いて寝なければ成らない時分は、一番困りましたネ……どうしても母親でなけりゃ承知しない……寒い晩に、子供は泣通し……こんなに子供を育てるのは厄介なものかしらんと思って、実際私も泣きたい位でした」
「皆なそうして育って来たのだわい」
「よく書生時代には、男が家を持った為にヘコんで了《しま》うなんて、そんな意気地の無いことがあるもんか、と思いましたッけが――
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