考えてみると、多くの人がヘコむ訳ですネ」
「お雪さん、貴方は今女中無しか」
「ええ、幸い好いのが見つかったかと思いましたら、養蚕をする間、親の方で帰してくれって」
「どうして、それじゃナカナカ骨が折れる」と言って、お種は家の内を眺め廻して、「しかし、お雪さん、私も御手伝いしますよ。今日からは貴方の家の人と思って下さいよ」
何となくお種は興奮していて、時々自分で制《おさ》えよう制えようとするらしいところが有る。顔色もいくらか蒼《あお》ざめて見える。三吉は姉を休ませたいと思った。
「菊ちゃん、来うや」
こう訛《なまり》のある、田舎娘らしい調子で言って、お房は妹と一緒に裏の方から入って来た。
「母さん」
お房は垣根の外で呼んだ。お菊も伯母の背中に負《おぶ》さりながら、一緒に成って呼んだ。子供は伯母に連れられて、町の方から帰ってきた。お種が着いた翌日の夕方のことである。
「オヤ、お提燈《ちょうちん》を買って頂いて――好いこと」お雪は南向の濡縁《ぬれえん》のところに立っていた。
「一寸《ちょっと》そこまで町を見に行って参りました」とお種は垣根の外から声を掛けた。お房は酸漿提燈《ほおずき
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