が言った。
親達の側にばかり寄っていたお房は、直に伯母の方に行った。そして、母に勧められて、無邪気な「亀さん」の歌なぞを聞かせた。
お房の小供らしい声には、聞いている伯母に取って、幼い時分のことまでも思わせるようなものが有った。
「これはウマいもんだ」とお種は左右に首を振った。「もう一つ伯母さんに歌って聞かせとくれ……何年振で伯母さんはそういう声を聞くか知れない……」
始めて弟の家を見るお種には、草葺《わらぶき》の屋根の下もめずらしかった。お種はお雪に附いて、裏の畠《はたけ》の方まで見て廻って、復《ま》た三吉の居る部屋へ戻って来た。
「オオ、ほんに、柿の樹が有るそうな」とお種は身を曲《こご》めて、庭の隅《すみ》に垂下る枝ぶりを眺《なが》めながら、「嘉助がよく御厄介に成ったもんですから、帰って来てはその話サ――柿だの、李《すもも》だの、それから好い躑躅《つつじ》だのが植えてあるぞなしッて」
庭には桜、石南花《しゃくなげ》なども有った。林檎《りんご》は軒先に近くて、その葉の影が部屋から外部《そと》を静かにして見せた。
お雪は乳呑児を抱いて来た。「先刻《さっき》泣いたかと思うと
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