たいものですよ」
 身内のものの噂は自然と宗蔵のことに移った。
「宗さんですか」とお倉はさもさも厄介なという風に、「世話してくれてる人がよく来て話します。まあ心《しん》はどれ程|御強健《ごじょうぶ》なものか知れませんなんて……こういう中でも、貴方、月々送るものは送らなけりゃ成りません。森彦さんも御大抵じゃ有りませんサ」
「彼は小泉の家に附いた厄介者です。どうしてまたあんな者が出来たものですかサ」
「もう少し病人らしくしていると可いんですけれど、我儘《わがまま》なんですからねえ――森彦さんはああいう気象でしょう、真実《ほんと》に宗蔵のような奴は……獣《けだもの》ででもあろうものなら、踏殺してくれたいなんて……」
 お倉やお種が笑えば、お俊も随《つ》いて笑った。この謔語《じょうだん》は、森彦でなければ言えないからであった。
 やがて別れる時が来た。
「三吉さんの許《ところ》へいらっしゃいましたら、俊や鶴のことを宜敷《よろしく》御願い申しますッて、そう仰って下さい……何卒《どうか》……」
 こう力を入れて頼むお倉の言葉を聞て、お種は小泉の家を出た。
 東京を発《た》つ朝は、お種は豊世やお俊や
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