方に暮れて了いましたよ……こんな町中に住まわないたって、もっと御屋賃の御廉《おやす》い処へ引越したら可かろうなんて、三吉さんもそう言いますんですけれど、ここの家に在《あ》る道具は皆な、貴方|差押《さしおさえ》……娘達を学校へ通わせるたって、あんまり便利の悪い処じゃ困りますし……それに、私共の借財というのが……」
次第に掻口説《かきくど》くような調子を帯びた。お倉の癖で、枝に枝がさして、終《しまい》には肝心の言おうとすることが対手《あいて》に分らないほど混雑《こんがら》かって来た。
「あれで、森彦も自分の事業の方の話は何事《なんに》もしない男ですが――」とお種はお倉の話を遮《さえぎ》った。「貴方の方に、郷里《くに》に、自分の旅舎《やどや》じゃ……どうしてナカナカ骨が折れる。考えてみると、よく彼《あれ》もやったものです」
「真実《ほんと》に、森彦さんには御気の毒で」
「彼の旅舎へ行ってみますとネ、それはキマリの好いものですよ。酒を飲むじゃなし、煙草を燻《ふか》すじゃなし……よくああ自分が責められたものだと思って、私は何時でも感心して見て来る。何卒《どうか》して彼の思うことも遂げさして遣り
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