お目に懸りました――森彦叔父さんと御一緒に伺って」
「これはお前より叔母さんの方に先に逢ってますよ」とお種は嫁の方を弟に指して見せた。
 豊世はこの始めて逢った「叔父さん」という人にジロジロ見られるような気がして、姑の傍に小さく成っていた。


 夏の日が暮れて、燈火《あかり》は三人の顔に映った。三吉は姉の容子《ようす》を眺めながら、こう切出した。
「達雄さんも、名古屋の方だそうですネ……」
「そうだそうな」
 と答えるお種の顔には憂愁《うれい》の色が有った。それを彼女は苦笑《にがわらい》で紛《まぎら》わそうともしていた。
「何処《どこ》も彼処《かしこ》も後家さんばかりに成っちゃった」
「三吉――俺は未だ後家の積りじゃ無いぞい」と姉は口を尖《とが》らした。
「積りでなくたって、実際そうじゃ有りませんか」と弟は戯れるように。
「馬鹿こけ――」
 お種は両手を膝《ひざ》の上に置いて、弟の方を睨《にら》む真似《まね》した。三吉も嘆息して、
「姉さん、旦那のことは最早思い切るが宜《よ》う御座んすよ。だって、あんまりヤリカタが洒落《しゃれ》過ぎてるじゃ有りませんか。私も森彦さんから聞きましたがネ
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