という人を想《おも》ってみた。無理にも豊世を引戻そうとした人を想ってみた。唯お種は面目ないばかりでは無かった。
「では、私はこうするで……暫時《しばらく》森彦の方へ頼んで置いて貰うで……それから復《ま》たお前と一緒に成らず。どうしても今度はお目に掛れない……そうだ、そうせまいか……お前もまた悪く思ってくれるなや」
と姑に言われて、豊世は反《かえ》って気の毒な思をした。彼女は何もかも打開《ぶちま》けて、話す気に成った。
「母親さん、私も困りましたよ。寺島の母が着いた時は、真実《ほんとう》に無いと言っても無い……葉書一枚買うことも出来ませんでしたよ、母が、国へ安着の報知《しらせ》を出しとくれ、ちょいとコマカイのが無いからお前の方で立替えといとくれッて、言いましても、それを買いに行くことが出来ません。私がマゴマゴしていますと、お前は葉書を買う金銭《おあし》も無いのかッて、母は泣いて了《しま》いました……でも、その時百円出してくれました……それで、まあ漸《やっ》と息を吐《つ》いたんですよ」
「それは困ったろうネ、私の方へも為替《かわせ》が来なく成った。ああ御金の送れないところを見ると、国でも
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