さんはキサクな、面白い方ですから……私共の祖母さんを御覧なさいな」
折れ曲った長い廊下の向には、林の家族の借りている二間ばかりの部屋が見える。障子の開いたところから、動く烏帽子《えぼし》、頭巾《ずきん》が見える。
仮装した女の万歳の一組がそこへ出来上った。お種は林の隠居の手を引きながら、嫁達の立っている前を通過ぎた。
その時、お種は心の中で、
「面白|可笑《おか》しくして遊ばせるような婦女《おんな》でなければ、旦那衆の気には入らないのかしらん……ナニ、笑わせようと思えば私だって笑わせられる」
こう自分で自分に言ってみた。彼女は余程トボケた積りでいた。嫁が心配していようなどとは思いも寄らなかった。
盛んな喝采が起った。浴客はいずれもこの初春らしい趣向と、年をとった人達の戯《たわむれ》とを狂喜して迎えた。豊世は気まりが悪いような、困って了ったような顔付をして、何を姑が為《す》るかと心配しながら立っていた。林の細君も笑いながら眺めた。
林の隠居は、こんな事をしたことの無い、温柔《おとな》しい老婦《としより》で、多勢の前へ出ると最早下を向いて了った。その側には、お種が折角の興を
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