さまさせまいとして、何か独りで万歳の祝いそうなことを真似《まね》て言った。
「ホイ――ポン――ポン――」
 お種は鼓を打つ手真似をしながら、モジモジして震えている太夫の周囲《まわり》を廻って歩いた。
 豊世は立って眺めながら、
「まあ、母親さんは……どうしてあんなことを覚えていらしったんでしょう……何時《いつ》、何処《どこ》で覚えたんでしょう」
「祖母さん――」と林の細君は隠居のことを言った。
「あんなに、喋舌《しゃべ》って、喋舌って、喋舌りからかいて――」と豊世は思わず国訛《くになま》りを出した。
「奥さん、吾家《うち》の母親さんをああして出して置いても可いでしょうか。私はもう困って了いますわ」
「そうネ。橋本さんは少しハシャギ過ぎますネ」
 こんな話をしているうちに、お種の方では目出度く祝い納めて、やがて隠居と一緒に成って笑った。隠居は烏帽子を擁《かか》えたまま自分の部屋の方へ逃げて行った。お種もその後を追った。
 部屋へ戻ってからも、お種は自分で制《おさ》えることの出来ないほど興奮していた。豊世は姑の背後《うしろ》へ廻って、何よりも先ず羽織や袴を脱がせた。
「母親さん、母親さん、
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